こすると文字を消せるフリクション。使っていると、鉛筆の文字を消しゴムで消すときと同じように感じるかもしれませんが、メーカーが説明する仕組みの中心は「熱でインキの色が変わること」です。
この記事では、パイロットのフリクションシリーズを対象に、文字が消える理由と、書く前に確認したい注意点をまとめます。他社の消せるペンへ温度条件をそのまま当てはめるものではありません。
こすって生じた熱で、インキが無色になる
PILOTの公式FAQによると、フリクションインキには特殊なマイクロカプセルが使われています。その中にある3種類の成分の組み合わせが摩擦熱によって変化し、インキが無色になる仕組みです。
専用ラバーで筆跡をこするのは、この摩擦熱を生じさせるためです。「紙からインキをすべて取り除いた」と考えるのではなく、インキの色が見えなくなった状態として理解すると、温度に関する注意もつながります。
高温を避ける理由と、低温で戻る場合
PILOTの取扱上の注意には、60℃以上になるとインキが無色になることと、直射日光の当たる場所や高温になる場所に置かないことが記載されています。
この温度表示は、「60℃未満なら、どんな保管条件でも記録を残せる」という保証ではありません。手元のペンの注意表示を確認し、書いたノートも高温になる場所へ置いたままにしないようにします。
また、同じ注意書きには、マイナス10℃前後で消去した筆跡が戻る場合があるとされています。色が見えなくなったことを、筆記内容が完全に取り除かれたことと同じには扱えません。「戻る場合がある」という性質であり、消えた大切な記録を必ず復元できるという案内でもありません。
消えてはいけない記録には使わない
PILOTは、フリクションボールを証書類・履歴書・宛名書きには使えないと案内しています。温度で無色になる性質があるため、あとから文字が読めなくなると困るものに使わない、という使い分けが必要です。
書き始める前に、次のように確認すると整理しやすくなります。下の表はメーカーの注意を踏まえた編集部の確認の目安です。
| 書くもの・場面 | 確認すること |
|---|---|
| 証書類・履歴書・宛名 | フリクションボールは使用しない |
| マークシート | メーカーは使用不可と案内している |
| 自分用の下書きやノート | 消えても困らない内容か、保管場所も含めて考える |
提出先に筆記具の指定がある場合は、その案内も確認します。便利に書き直せることと、長く残したい内容を記録することを、同じ条件で考えないようにしましょう。
専用ラバーと紙の状態も確認する
フリクションの公式サイトは、筆跡を消す際に付属のラバーやフリクションイレーザーを使うよう案内しています。消去用ラバーに汚れが付いていると紙面が汚れるため、汚れを落としてから使うことも注意点です。
PILOTのFAQでは、筆跡が乾いてから消去するよう案内されています。消しにくいからといって、乾く前に繰り返しこするのではなく、まず使い方と道具の状態を確認します。
感熱紙など、紙や印刷物の特性によって消去に向かない場合もあります。ペンを選ぶだけでなく、何に書くかも確認が必要です。
普段使いでは、次の順で確かめるのが編集部の提案です。
- 内容を選ぶ:消えてはいけない記録や、筆記具が指定された提出物ではないかを確認する。
- 表示を読む:手元の製品の使用方法に従い、乾いた筆跡に専用の消去用具を使う。
- 置き場所を見直す:ペンとノートを、直射日光や高温を避けて保管する。
レシートなど感熱紙そのものの保管については、感熱紙の文字が消える理由と保管のポイントを別の記事にまとめています。フリクションのインキと紙の性質を混同せず、それぞれの注意を確認してください。